麒麟新聞Giraffe Magazine
満月の日に発行する現在進行形の民間伝承誌
A live folklore magazine, published on every full moon.
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2026-06-30

星座

vol.6 6月号
あの宴の日、焚き火から上がった火の粉は、天まで昇っていった。 小さくなった火の粉が夜空にたどり着く。そしてそれは星座となった。 今号のテーマは、『星座』である。麒麟新聞が観測する関係性の広がりを、星座になぞらえてみたい。星座とは、なんともロマンチックで強引な発想だろう。どこまでも主観的なまま、距離も大きさも違う星どうしを、無理やり関係づけてしまう。なんの意味も持たない星のつらなりに、壮大な物語を見出してしまう。 この新聞は、現在進行形の民間伝承誌を謳っている。下北沢を拠点に広がる、顔が見える範囲の人々の活動を追いかけながら、残さなければ消えてしまうかもしれない手触りを紙の上に残していく。この新聞で掬い取ろうとしている人々や活動の総体を、ひとことで説明できる言葉は、まだない。それでも、この複雑で入り組んだ関係の中に、何かしらの”可能性”とも呼ぶべき物語が埋まっているということだけはわかる。それをどうにかして見出すための手掛かりは、星座的な操作の中にこそある。この試みはあくまで主観的で、編集部から見た一つの視点でしかない。 しかし、星座のおもしろいところは、恣意的につないだまとまりが、ジャンルも粒度もむちゃくちゃなところにある。実際、八十八あるとされる星座のなかには、不可思議な名前がたくさんある。ポンプ座、けんびきょう座、コンパス座、とけい座、がか座、はえ座、カメレオン座…。神話の獣も、科学の道具も、地上の山も、同じ夜空に平気で並んでしまう。とどのつまり、星座というものの本質は、「そういうことにしておく」という軽やかな発想にあるのかもしれない。 “そういうこと”にしておけるなら、「わたしたちは“オープンマイク”というものを共通言語にして、“ミラーボール銀河系”という銀河の下に集まる星たちだ」ということにもしておけるのではないか。そういうことにするだけなら自由なはずだ。 その銀河の中には、SOY-POYやジラフに集まる人たちがいる。さらにはバンド、ユニット、集団、グループ、二人組、派生するプロジェクトがある。予期もしないような出会いの連鎖があり、それと同時に別れもある。離れた関係をつなぎとめるのは別の何かだったりする。 こうやって近づいたり離れたりしながら散らばるいくつもの点を、線でつないでみる。すると、だんだん星座のように見えてくる。わたしは、わたし。あなたは、あなた。それでも、わたしとあなたはつながっている。そういうことにしておく。ひとりで輝きつづけるしかない星と星をつなぎ合わせるために、点と点をつなぐこと。線を描いてみること。その線を、少しずつ増やしてみること。 それはもしかしたら、小さなことから始まるのかもしれない。例えば、ジラフのカウンターで隣に座った人に話しかけてみる、とか。あるいは、あなたの中にあるものを声に出してみる、とか。 さあ、長話はこれくらいにして、天体望遠鏡を覗き込んでみよう。今号もお楽しみください。
編集長 勝俣泰斗